「墓相」とは、お墓の形や建て方、向き、石の種類、お墓の環境などによって、お墓を持つ家族の家運や人生の吉凶を占うというもので、この考え方を「墓相学」といいます。
墓相という考え方は、中国で発達した風水の思想がその起源であるといわれます。日本に墓相学が登場したのは大正末期頃のこと。戦後になると、多くの出版物や雑誌などで紹介されたことから、墓相は広く一般に知られるようになりました。
結論を言うと、墓相については気にする必要が全くありません。世間で聞かれる墓相には様々な説があり、その内容もそれぞれ食い違っています。墓相は統計的な根拠もなければ、その因果関係も明らかにされていないものなのです。
また、そもそも墓相は仏教の経典においては一言も触れられていません。例えば、お墓の方角については、お釈迦様の骨は方角に関係なく因縁のあった8つの場所に葬られたとされていますし、墓石の色についても仏教では特定の色が悪いという思想はなく、どの色も大切だと考えられています。そのため、お墓を建てる際に墓相について考慮する必要は全くないのです。
一般に墓相においてよいとされるお墓は、日当たりがよく手入れが行き届いた、適度な大きさと敷地の広さを持つお墓だとされています。逆に高台にあるお墓や大き過ぎるお墓、日当たりや水はけが悪く、手入れの行き届いていないお墓などは不吉であると言われます。ただ、これらは、吉凶にかかわらず常識的に良し悪しがわかることであり、墓相に従って判断する必要はないことです。
そもそも、お墓を建てる上で大切なことは、故人や先祖を供養するという気持ちです。その気持ちがあるお墓こそが、良相のお墓であると言えるでしょう。