お墓を建てる時期についての決まりはありません。大切なのは供養の気持ちであり、時期については遺族の心の整理がついた時点で構わないでしょう。ただし、埋葬しなくてはならない遺骨がある場合は、一日も早く安眠できる場所をつくってあげることが故人への供養となります。
一般的に遺骨がある場合は、四十九日や一周忌など親族の集まりやすい時に合わせて建墓をし、法要と開眼供養を同時に済ませることが多いようです。
また、お墓は生前に建てることもできます。生前にお墓を建てることを「寿陵」といい、近年では増加傾向にあります。
寿陵の「寿」は長寿・長命、「陵」はお墓を意味します。そのため、生前中にお墓を建てるということは、長寿が約束されるという大変縁起がよいこととされています。
生前中にお墓を建てる際のメリットとしては、自分の希望するスタイルのお墓を建てることができること、子供に負担を掛ける心配がないこと、お墓は相続税や固定資産税などがかからないため節税になるということ、などが挙げられます。
デメリットとしては、生前にお墓を持つと定期的にメンテナンスを行う必要が生じるということです。
近年、核家族化の進行により個人墓が増え、墓地の不足が深刻になりつつあります。その影響から、多くの人が生前にお墓を確保しておこうと考えるようになりました。また、個人と「家」の結びつきの希薄化は、お墓に対する意識を「先祖への供養」から「自分の死後設計」へと変えつつあります。人々は過去の先祖よりも、現在と未来の家族のためにお墓を求めていると言え、それが寿陵の増加に繋がっているのでしょう。
寿陵は、現在では多くの霊園で建てられていますが、応募者の多い公営霊園では寿陵の建墓が認められないこともあります。